第二話~異変~

2/5
前へ
/12ページ
次へ
「ったくよお。少しはマシになンねぇ…のッ?」 鬱蒼とした森とは少し離れた崖の近くで、赤髪の男“沙悟浄”はだるそうに呟く。 「まぁ…無理でしょう…ねっ!!あちらさんも必死に頑張ってますから」 「まぁ弱いっちゃ弱いんだけどな~。」 「フン。だから面倒なんだと言ってんだ。」 「悟空、本当の事を言ってはあちらさんが可哀想ですよ?それに三蔵の場合は強くても面倒なんじゃないですか?」 「ったくワガママなさんチャンだねぇ(ガウンガウンガウン!!)って俺に向かって撃つんじゃねぇ!!」 「誰がさんチャンだ(怒)」 その悟浄に黒髪に翡翠の瞳をした猪八戒と言う青年、茶色の髪に金色の目をした孫悟空と呼ばれる少年、金色の髪に紫暗の瞳の玄奘三蔵と呼ばれる青年が各々自分の思った事を述べている このセリフだけだと一見したらただの中の悪い男が四人いるだけ。だが、その四人を囲んでいるまわりの様子は決して普通ではない。人ではありえない凶器じみた長い爪を持ち、尖った耳をもっている彼等――妖怪と呼ばれる者達は咆哮をあげ、四人に襲いかかっていた。それもぱっと見ただけでも五十人以上…いや百人はいるのではないくらいの大人数で…。 だが、それをものともせずに四人は襲いかかる妖怪達を蹴散らしていた。 悟浄は錫月杖と呼ばれる鎖鎌で妖怪達を切り刻み 悟空は如意棒と呼ばれている伸縮自在の棒で妖怪達を薙ぎ倒している。如意棒を諸に食らった妖怪達からは鈍い音がしている。 八戒は気功と呼ばれるもので欠片も残さずに妖怪を消し去り、三蔵は愛用の小銃で寸分の狂いなく相手を仕留める。 数分後には、あんなにもいた妖怪達は、半数以下になっていた。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

158人が本棚に入れています
本棚に追加