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――一瞬、何がおきたのか分からなかった。
それを思っているのは皆同じ事だから口にすることはないが…。否、頭が現在の状況を受け入れようと必死に働いているために口にする暇もないと言った方が正しいのかもしれないが。
とにかく、三蔵達はただ呆然と崖の下を見つめることしか出来なかった。
「…ど……なってんだ…?」
暫くし、いち早く脳内が現状を受け入れた悟浄は、誰に話す訳でもなく呟いた。
その声で我に戻った八戒は、急いでジープに乗り込み、二人にも早く乗るよう告げる。
「二人とも、ぼぅっとしてないで早く乗って下さい!!」
「……って八戒!お前どこ行くつもりだよ!?」
「一応悟空が落ちたであろう場所に向かいます。わかったら早く乗って下さい。」
いつもと違う状況に、何か嫌な気でも感じたのか、三蔵もどこか焦ったような表情で、いつもなら考えられないくらいあっさりとジープへ乗り込んだ。それに従い悟浄もジープへ乗り込む。いつもはなんだかんだと言いながら、実は仲間思いの悟浄にとっては本当に心配なのだ。
この状況が。
悟空の事が。
全員乗り込み、ジープをフルスピードで飛ばそうとした時だった。
頭上から、人型の影が、もうスピードで此方より少し前方へ向かって落ちてきた。
―――――思えば、この時から
歯車は少しずつ、狂っていたのだろう。
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