第01夜【白の男の存在】

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「それについてなんだが…今夜、貴族で開かれる大きな舞踏会があってね、よかったらマナも一緒に来て欲しいんだよ。そろそろマナも年頃だし、ちゃんとお披露目したいって思ってるんだけれど……どうだい?」 貴族の舞踏会…… それには今まで私は一度も行った事がなかった。 なぜなら、私は病弱だったし…いつもはおじさんが一人で出向いていた。 でも私が年頃だって言う理由だけで今回は私も一緒に行ってもいいのだろうか? 「でも…それっておじさんにとっては大切な友人とか知り合いの方が出向くんでしょう?私なんかが行っても大丈夫なのかな?」 私はおじさんと血が繋がっているわけではない。そんな私がそんな高貴な場所に行って本当にいいのだろうか? 不安そうに俯くマナにおじさんはニッコリ笑いながら答えてくれた。 おじ「そんなに気にする事なんてないさ……それにマナに逢わせたい人がいるんだよ。」 「私に逢わせたい人?」 私に逢わせたい人って誰なんだろう?おじさんの知り合いの人に紹介してくれるって事……なのかな? 「おじさんの頼みなら……わかった。」 おじ「よかった…それじゃぁ夕方までには支度を整えておいてくれよ…くれぐれもリンゴなんて食べ過ぎないように……」 ニコニコ笑いながらも、おじさんの視線はマナが買ってきた大量のリンゴに向いていた。 「あ……///」 それにマナは軽く苦笑いをして答える。 「わかってるって……、おじさんの顔に泥を塗るような事しないから安心して?」 おじ「ハハハ……、マナは本当にリンゴが好きだな」 ほくそ笑むように笑っておじさんはマナにそう言うと、部屋から立ち去ってしまった。 今晩の舞踏会、そんな高貴な場所で私に逢わせたい人って一体誰なんだろう? 買ってきたリンゴを食べながらもマナは軽く息をつく。 昔、私は里親に捨てられた。寒い冬の日、いくつもの街をさ迷って凍え死んでしまいそうになっていた私を拾ってくれたのがおじさんだった。 親の愛情を貰えなかった私をちゃんと育ててくれたおじさんには感謝していた。 だから、この舞踏会はおじさんに恩返しをするチャンスなのかもしれない…… .
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