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そんな事を思ってボーッとしているとティキはマナの身体を強引に引き寄せた。
「わ!!ちょ……っ!」
ぐぃっと引っ張られて身体が密着する。
動揺を隠せず顔を赤くするマナにティキは妖しい笑みを見せた。
ティキ「まぁ、踊れねぇなら叩き込むまでだな…舞踏会でワルツを踊るくらいできねぇと致命的だぞ?」
「わ……ワルツ?」
ティキが言っている言葉の意味がサッパリわからない……
そのせいで、きょとんとした顔で見ているとティキはため息をついてマナを見下ろす。
ティキ「…まじでわかんねぇのかよ;;;」
「す、すみません…;;;」
舞踏会でまさかこんな恥をかくなんて思ってもいなかったマナは顔を赤くして俯いてしまった。
こんな事ならダンスの勉強を頑張ってしておけばよかった。
ティキ「ま、リンゴの礼もあっから…俺が教えてやろーか?」
落ち込むマナにティキはニッコリ微笑んで彼女の手を取り、腰に手を回した。
「え……えぇ?!」
ティキ「今から基本だけ教えてやるから覚えろよ?」
「基本って…;;;」
いきなり基本だけって言われても……
(というか、ダンスを踊る時ってこんなに密着するの?)
ティキは軽く手や腰に触れているだけかもしれないけれど……2人の身体はピッタリと密着していた。
これでは集中なんてできない。
ティキ「んじゃ、俺がリードするから…ちゃんと合わせろよ?」
そんなマナをお構い無しにティキはどんどん先へと進んで行く。
「ちょ……ちょっと待って///」
恥ずかしさと困惑で頭がいっぱいでマナはティキの手をあっさりと放してしまった。
けれど……
ティキ「ダメ、つーか無理……じゃないとお前が恥かくんだけど?」
「う゛……;;;」
抵抗も虚しく、あっさり否定されてしまった。
(なんか弱みを握られてるみたいだ……)
そんな悔しい気持ちもあるけれど、私がダンスが踊れないせいでおじさんを悲しませるのはとても嫌だ。
しかも、今頼れるのはティキしかいない。
だから……うっすら涙を浮かべながらも小さな声でマナはティキに訊ねた。
「……じゃぁ、本当に……手伝ってくれる?基本覚えるまで…」
すると、ティキはニッコリ笑って再度手を差し伸べてくれた。
ティキ「仰せのままに…、お手をどうぞ?」
「……///」
躊躇しながらもゆっくりとマナはティキの手を取る。
こうして、私のダンスの練習が始まった。
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