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ティキ「なんだよ…そんな顔してたら可愛い身なりしたご令嬢の姿が台無しだぞ?」
「…う゛////」
ティキはクスクスと笑いながらマナの額を指先でコツンと小突いた。
その態度に少し不満を抱いたのか、マナは頬を膨らませてティキの顔を見上げた。
「今日のお礼……ちゃんとしたい。」
ティキ「お礼?」
同じ言葉を繰り返して首を傾げるティキにマナは黙ったままコクンと頷いた。
"お礼なんていらない"って言われてしまうかもしれない。
それでも、ティキが手伝ってくれたおかげで私は恥をかかずに済んだから。
ティキの挑発的な態度は別として、それだけは本当に感謝していた。
ティキ「お礼って言われてもな…」
真剣にティキの反応を伺っていたマナに対して、ティキは困ったように考える。
でも暫くすると、何かを思い付いたように微笑んでみせた。
ティキ「そんなに俺にお礼がしたいって言うんなら……」
少し間をおいた後に、ティキはマナの顔に近付いてそっと囁いた。
その言葉は今でも覚えてる。
記憶に焼き付いて、忘れる事ができなくなってしまうくらいに…私にとっては衝撃的な言葉だったから。
ティキ「キスの一つでもしてくれると嬉しいんだけど?」
「き…キス?///」
ティキの言葉にマナは目を丸くして同じ言葉を繰り返してしまった。
耳を疑いたくなるような言葉…本当に今、【キス】しろと言った?(命令系ではないが)
「えーと…今変な言葉が聞こえてきた気がするんだけど……気のせいかな?;;;」
ティキ「なんだよ…変な言葉って;;;」
「だっていきなりキスだなんて……////」
(あまりにも突然過ぎる…でも、貴族にとってはこういうのって当たり前の事なのかな?)
動揺を隠しきれないマナ。
彼女にとってはキスなんて初めての事だしどうしたらいいのかわからない。
ティキ「変なやつ……」
躊躇するマナをよそに、ティキはクスッと喉を鳴らしたように笑った。
そしてその一瞬、マナの額に何かが軽く触れる。
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