第02夜【長い夜の始まり】

11/11
前へ
/63ページ
次へ
でもそんな事よりも、私の頭の中は別の事を考えていた。 思い出すだけでも赤面しそうになってしまう。 ティキの事。 思い出すだけでも憎たらしいって思うのに、どこか憎めないって思い返してしまう。 どうしてそんな事を思ってしまったのかわからないけれど……ただ一つだけわかる事がある。 それは【ティキにもう一度、会いたい】って思ってしまった事。 帰りの馬車の中、マナは窓越しの景色を眺めながらおじさんに声をかけた。 「おじさん……」 おじ「なんだい?マナ…」 優しく返答してくれるおじさんにマナは少し間をあけた後に首を横に振ってしまった。 「ううん……やっぱりなんでもない…」 そんなマナにおじさんは不思議そうに首を傾げて訊ねてきた。 おじ「今日は……楽しかったかい?」 初めての舞踏会…本当に色んな事があった。 ロードに会って、ティキに会って…… そして……… そこまで考えて、マナはおじさんに軽く笑ってみせた。 「とても楽しかったよ…」 こうして、マナにとって短いようで長い夜は終わった。 妙な違和感と、確信をつかめない思いを抱きながら… .
/63ページ

最初のコメントを投稿しよう!

392人が本棚に入れています
本棚に追加