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「イーズっていうんだ。私はマナっていうの…よろしくね」
イーズ「マナ……」
軽く自己紹介をして微笑みかけると、イーズは安心してくれたのか嬉しそうに笑ってくれた。
それを確認すると、マナは自分の手よりもはるかに小さいイーズの手を繋ぎ、とりあえず見渡しがいい場所へと移動する事に。
「イーズ、この街に来たのは初めて?」
移動する途中、なんとなく訊ねればイーズは黙ったままコクンと頷いた。
「そっか……誰かと一緒に来たんだよね?」
イーズ「……鉱山の仕事で4人で来たの。」
「え…仕事?」
イーズの言葉に驚きつつもマナは首を傾げればイーズは嬉しそうに続けた。
イーズ「今日はティキと一緒。」
「………」
予想外な返答につい、マナは言葉を詰まらせてしまった。
今、知ってる人物の名前が聞こえたような気がしたのは気のせい?
確かに………
【ティキ】と聞こえたような………
確信を持てないまま、頭の中で悩んでいると背中から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「いたいたいた!イーズ!!」
「……!」
あまりの大きさの声で、イーズとマナは驚いて後ろを振り返った。
そうすればマナの視界に入った人物はやはり………
ティキ「イーズ、勝手に歩いたら迷子になるだろ~っ。めちゃくちゃ俺走り回って探したんだぞ?」
イーズ「…ティキ、ごめんなさい。」
再会を喜ぶかのように、イーズの頭をワシャワシャと撫でるのは、数日前に街で死にそうになってた時と同じ姿をしたティキだった。
舞踏会での気品さ溢れる紳士はどこへいったのやら。
本当に全くの別人みたいだった。
「…………;;;;」
突然の再会と、ティキの見た目のギャップの違いに改めて驚いて固まっていたマナ。
すると、ティキがこちらに気付いたようで声をかけてきた。
ティキ「よう、もしかしてお前がイーズを助けてくれたとか?」
イーズ「ティキ……知り合い?」
苦笑いを浮かべて頷いたマナを見たイーズは不思議そうにティキを見上げて首を傾げた。
ティキ「まぁ…俺にとっても恩人だからな……」
ティキはずれる眼鏡を直しながら、ヘラヘラと微笑んだ。
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