第01夜【白の男の存在】

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真夏の太陽がジリジリと体力を蝕んでいく…… 季節は夏。 私があの人と出会った季節…… 出会いは偶然だったのか必然だったのかわからない。でも、ただ一つ言えるのは その出会いは【運命】だったのかもって今でも思ってる。 それがたとえ、神様の悪戯だったとしても……。 「リンゴ、くださいなっ」 少女は笑って街のリンゴ売りに声を掛けた。 小さな屋台の上に山積みにされたリンゴには艶があり、とても美味しそうなのだが売れ行きはあんまりのようだった。 だからこそ、少女の声にリンゴ売りの亭主はとても嬉しそうに反応を示した。 「本当かい?今日は売れ行きが悪くてね……良かったら好きなだけ持っていっていいよっ」 「本当に?嬉しい~!じゃぁ、お言葉に甘えて……ありがとね!」 お金を払った後、リンゴを紙袋に積めるだけ積めて彼女は満面の笑みで屋台から離れて行った。 背中からはリンゴ売りの「またおいで」という声が聞こえた。 私の名前はマナ。 小さい頃からずっとこの街に住んでいる。 今日は久々の外出で街の中を散歩している最中だった。 もちろん、好物はリンゴ。リンゴをこんなにもたくさん持って外出ができるなんて今日はなんていい日なんだろう? .
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