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なんだかそんな風に思ってマナはとっさに嘘をついてしまった。
「えっと、これはお見舞いに行くために持っていくの」
ティキ「お見舞い?そか……あんた偉いんだな、俺なんか助けるし」
確かに、道端のベンチに大の字で寝そべってる怪しげな男にリンゴをあげるなんて事、普通は誰もしないだろう。
でもマナはそれができなかった。
なんで声をかけてしまったのか自分でもよくわからないのだから。
「人助けは嫌いな事じゃないもん……だからいいの」
考えても答えは出ない。
だからマナはそう言ってティキに笑ってみせた。
するとティキはマナから一瞬顔を反らすとベンチから立ち上がる。
ティキ「ま、助けてくれた事は感謝するよ……じゃ」
そう言って立ち去ろうとするティキにマナは声をかけた。
「またね、ティキ………」
その言葉にティキは何も反応をしてくれなかったけど…マナはティキとまた会えるような気がした。
それはなぜかわからないけれど今までにないくらいにマナの胸は高鳴っていた。
何だろう……
この胸の高鳴りは……
そんな疑問を抱えながらマナは残ったリンゴを持ってベンチから離れた。
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