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「ただいま……」
その足で家に戻ると、いつものように使用人が私を出迎えてくれた。
使用人「お帰りなさいませ、お嬢様……先程旦那様がお帰りになりましたよ。」
「え?おじさんが?」
広間にそのまま顔を出すとソファの上に腰をかけている1人の男性がいた。
「おじさん……いつ帰ったの?」
おじ「おや、マナお帰り…具合はどうだい?」
おじさんと呼ばれたその人はこの屋敷の主、でも私とは血が繋がっていない人。
それに奥さんだっていない…おじさんはいつも仕事で忙しくて屋敷を空けていて屋敷にはいない事が多いのに……急に帰ってくるなんてとても珍しい事だった。
「いえ、大分良くなったから気分転換に外に行ってきたの、勝手に外出しちゃってごめんなさい…」
おじ「構わんよ、でも昼間とはいえマナはもともと身体が弱いんだからあまり無理をしないでくれよ?とても心配している……」
「はい……」
おじさんは私とは血が繋がっていない。その理由はただ一つ、私が昔拾われた子供だったから。
おじさんは身寄りのない私を引き取って育ててくれた優しい人。
とても感謝しているし、私にとって大切な人だった。
おじ「急に屋敷に戻ったのには理由があるんだ、一つマナにも頼み事があってね。」
マナはおじさんが座っている前の椅子に座り首を傾げた。
「私に頼みって何?」
おじさんがこちらに急に戻ってくるなんて滅多にない事……
それに私に頼みって……
何か理由があるのだろうか?
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