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うーん。
質問責めでキリがない。それに俺は話をずっと聞くのが苦手なんだ。退屈。
リンク「ねぇ、君達はどうやってこの世界に来たんですか?」
答えたのは、チェシャ猫におずおずとサンドイッチを差し出す男の子だった。
ポポ「僕達は、トランプを持った珍しい兎を追いかけていました。でも…、暗い穴に落ちてしまって」
リンク「ようは迷子ですね、わかります」
ナナ「気付いたらここにたどり着いていたの。なんか、私達"どこ●もドア"を出せる能力あるみたいで…」
へぇ、それは便利な能力ですね。とにかく、あとであのメタボ兎(マリオ)を懲らしめておかないと。
きっとアリスが追いかけていたのは裁判に遅刻したあいつだ。
この2人のせいで"空間の秩序"がバラバラになりつつある。どうにかしないと…。
ナナ「あのねちーちゃん!私達このお城に招待されているの!場所…案内してくれないかな?」
リンク「(ちーちゃん!?)」
アリスから渡されたのは、1通の招待状。スペード♠のシールがあるから、きっと女王様からだろう。
リンク「おやすいご用ですよ、アリス」
君がそれを望むのならば、俺はそれを叶えましょう、大好きなアリス達。
やったー!と歓声をあげるアリス。息がぴったり。そそくさとピクニックを片付けて満面の笑みでチェシャ猫を見上げた。
リンク「あ、じゃーその"ど●でもドア"とやらを出してくれますか?」
こくん、と頷く双子のアリス。2人が目を閉じて同時に地面を指さしたとき、音もなく白い扉が現れた。
リンク「(うはー、これは便利ですね、羨ましい)ありがとうアリス。では、俺が道を先導しますのではぐれないよう付いて来てくださいね?」
ポポ・ナナ「「わかった!」」
チェシャ猫が扉に触れると、白かった扉がどす黒い赤へ色を変えた。
構わずに扉をあけてチェシャ猫が中に入ったので双子のアリスもそれに続いた。
♥
ポポ「真っ暗だね…こわっ(さっきまではこんな怖くなかったのに)」
アリスの呟きに答えるものは誰一人としていない。不安になって後ろを見ても、誰もいない。隣にも。
ただ遠く前の方にチェシャ猫がルンルン♪と歩いている姿だけ。
ポポ「(ねぇさん…!?ナナはどこに…?)」
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