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しばらくしてアリスは気が済んだのか演奏をやめてチェシャ猫を見下ろした。
もうこの世界は、目の前のアリス色に染まっていて俺はさらに嬉しくなった。
狂気に満ちた世界。
マルス「さぁ…何をして遊ぶ?」
リンク「!では…、俺が君に恩返しをするゲームなんてどうですか?」
アリスは目を少しばかり細めて、少し悩んだ後"いいよ。"と答えた。
こたえてしまった。
笑うチェシャ猫の姿がアリスの眼前から一瞬で消える。慌てて見渡しても彼の姿はない。
がちゃん
アリスの背中の左あたりに、何かひんやりしたものが押しつけられた。
後ろを振り向くと、そこには銃の引き金をいっきに引くチェシャ猫の姿が。
マルス「か…」
聖なる湖が、アリスの血を受け止めて徐々に浄化されていくのがわかる。
アリスはゆっくりと仰向けに湖の上に倒れた。その上にチェシャ猫はちょこん、と乗っかり彼の開いたままな目に手を。
そしてアリスの閉じられた左目に薔薇を飾り、その華に小さなキスを落とした。
リンク「アリスが俺を狂わせてくれたから…、ありがとう」
チェシャ猫が足に力を込めると、アリスの体は静かに湖に沈む。
どんどんどんどんどんどん底なしの 闇の底まで。
リンク「二番目アリスは 大人しく
歌を唄って 不思議の国ぃ
いろんな音を 溢れさせて
狂った世界を うみだした♪
そんなアリスは 薔薇の花ぁ
イカれた男に 撃ち殺されて
真っ赤な華を 一輪咲かせぇ
みんなに愛でられ 枯れてゆく♪」
チリーン
挿し絵協力‡狐萌子様
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