561人が本棚に入れています
本棚に追加
「琉穏君は、事故死になるので、同意のうえ解剖しないと死亡届が発行できません。
事情聴取もさせていただきます。」
無傷の身体にわざわざメスを入れる?
言っている意味は分かっても納得できませんでした。
「もし解剖を拒否した場合どうなりますか?」
「琉穏君の場合は死亡届がでません。
なので葬式も出せなくなりますよ?」
私にはある種の脅しのようにも受け取れました。
同意と言う名の強制でした。
「わかりました、ただ連絡を取らないといけない人が居るので、少し待ってください。」
私は琉穏を母に預け、当時名古屋に行っていた琉穏の父親のまさきに連絡を入れました。
「プルルルル…プルルルル…」
何度もかけ直しました。数回かけ直した時、やっと電話に出てくれました。
その瞬間パニックになってしまい、口をついで出るのは泣き声で掠れた、琉穏の名前だけでした。
「琉穏が…琉穏が…」
電話口ではただ事ではない様子を感じ取ったのか必死に
「琉穏がどうしてん!なにがあったんや!」
私は出来るだけ落ち着いて状況を説明しました、でも『死』と言う単語を伝えるときには泣き崩れてしまいました。
「なんでや!明日誕生日やないか!まだ1歳にもなってないんやぞ!」
相手の気の動転は手に取るようにわかりました。
私はただひたすら謝っていました。
「とりあえず、今からすぐに帰る!でも着くのはどうしても夜になってしまうから!ごめんな!」
「ごめん、気をつけて帰ってきて…」
一通り話し終わり、私は琉穏を連れて警察署に向かいました。
琉穏を部署の女性に手渡すと、案内されたのは取調室でした。
最初のコメントを投稿しよう!