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一目で事の次第を理解し、気付けば、119に電話をしていた。
電話の向こうでは悠長に
「消防ですか?救急ですか?」
と聞いている。
全てを聞ききらない内に
「1歳になる息子が自宅の風呂場で溺れました、
今逆さにして水を吐かせています!」
精一杯落ち着いてなるべく詳しく話したつもりだったが、
多分落ち着いてはなかったと思う。
「わかりました、今そちらに向かっています!
玄関まで移動して、寝かせて下さい。
息はしていますか?
心音は確認できますか?
今から指示する通りに心拍蘇生を行って下さい!」
母に携帯を渡し、スピーカーにすると
私はもう無我夢中で琉穏を呼んでいました。
指示された通りに服を脱がせ小さな胸に手を置きました。
身体が震えているのか、
手が震えているのか、
小さな身体に焦点が合いません。
頭の中では走馬灯の様に琉穏の笑顔が回って、
それと共になんで?!の言葉だけが木霊していました。
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