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救急車の中では、バタバタと慌ただしく隊員の方達が動き回っていました。
私は何故すぐに発車しないのか、問い詰めていたような気がします。
向かった先は吹田市にある、救急指定病院。
道中でも常に心臓マッサージと声かけが行われていました。
私は涙も出ず、ただひたすらに下を向いて、祈っていました。
一向に身体の震えは止まらず、何の音も聞こえていなかったのを覚えています。
暫くして、病院に到着して慌ただしく琉穏は連れて行かれました。
私と母は誰もいない静まりかえった待合室でただ無言でいすに座り、祈り続けていました。
『天に在すわれらの父よ、お願いします、まだ連れて行かないで下さい!、お願いします、まだ連れて行かないで!明日誕生日なんです!私が代わりますから!何でもする、何でも聞きますから!』
訳の分からない祈りを捧げ何度もアーメンを言っていたと思います。
隣で座っていた母も、同じ様に祈っていたと後から聞きました。
病院に着いて2時間ほどたった頃、一人の医師が近付いてきました。
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