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猫が居た
小学校から帰ってくると
家の前で綺麗なグレーの身体を
気持ち良さそうに毛繕いしている
一匹の猫が居た
『ニャー』とひと鳴きしたその猫は
まるで私に『おかえり』と
挨拶している様な気がした
少し青味がかった大きな瞳
楽しそうに揺れている尻尾
子猫ではなかったけれど
まだまだ若い猫だった
『野良猫かな…?』
首輪はなかった
その小さな身体の首元に
大きな傷痕が目立っていた
幼かった私は
その美しく気高い姿に
一瞬にして心を奪われてしまっていた
『はじめまして。ヨロシクねナイト♪』
『ニャーウ♪』
無意識に口にしていた
猫の名前…
でも気に入ってもらえた様だ
私は当時夢中になって読んでいた
おとぎ話に出てくる
『knight-騎士-』の名前を
その猫にささげた
.
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