序章『存在意義』

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私の背丈、体の倍以上に高く立派な『木』 その木を10本以上沈めてもまだお釣が出そうなくらい大きな『湖』 その木になっている六つの『実』と無数の色がついた物体がそこにはあった。 まるでそれは幻かと思う程に繊細で綺麗な空間。 その空間に魅了された気分のままに木に手を伸ばす。 大きな木はいつからあるのか分からないくらいに立派だ。 その木に付く実は少し妖艶な雰囲気を漂わせている。 しかし実を採りたいが、高い位置にある為に届かない。 少し苛立ちを感じるが正直それどころではない。 私はその実を一時的に記憶から消した。 そして湖に目を向けかけよりそのまま飛び込んだ。 透き通る綺麗な湖は一見綺麗過ぎるが故、冷たい印象を受けるが実際には心地よい暖かさで私の体を包む。 潜ってみるが私の身長ほどの高さから下へとは潜れなかった。 何か透明の板のようなものにぶつかる。 なぜ湖の奥には行けぬ? ……まあよい。 それほどには興味も持たずに湖で泳ぐことを満喫し満足した私は湖から体を出した。 そして濡れたまま雲の上に横たわる。 やはり疲れが溜まっていたのだろう。 私はそのまま眠りについた。
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