分岐:1

7/24
380人が本棚に入れています
本棚に追加
/100ページ
「陽太、俺が外の様子見て来るからここで梨花と待ってろ。安全だと分かったら呼びに来る」 立ち尽くしている陽太に吐き捨てる用に言うと、剛志はドアに手を掛けた。 しかし、ドアを開く前に陽太がそれを制止する。 二人の視線が重なり、剛志が手を再び手を動かそうとした。しかし、陽太は再びその手を止めると、口を開いた。 「それは出来ないよ!!剛志が行くなら僕も行く!!」 それは、内気で弱気な親友の精一杯の言葉だった。その言葉を聞いた剛志は、静かに手を下ろす。 「…強がり言いやがって。お前が怖がりなのは幼稚園の頃から知ってんだよ。………俺に付いて来い」 剛志は金属バットを担ぎ、陽太は掃除用具入れから箒を取り出す。箒が最大の武器だなんて漫才もいいところだ、などと、陽太は溜め息をついた。 しかし、もう覚悟は出来た 「………ねぇ」 今にも出て行きそうな二人に、梨花が呼び掛け、足を前に出した。しかし、剛志がそれを左手で制止する。 「お前はここで待ってろ。すぐ戻って来るからよ」 「納得出来ない。私も行く」 「でも、もう武器が無いよ」 「武器ならあるわ」 梨花の発言に少し驚いていた二人だったが、彼女の取り出した「武器」に更に驚いた。 「サバイバルナイフよ。武器には丁度良いと思うけど?」
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!