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――――今日も空が蒼いなぁ。
季節は残暑の厳しい九月の上旬。
学校の屋上にて呆けた顔で突っ立って、雲一つ無い空を見上げる少年が一人。
至極当たり前なことを考えながら、ただ空を見上げている。
時刻は10時10分過ぎ。通常なら、始業時間はとっくに過ぎている。
「ダメだやっぱダルい。今日は早退するか……」
そう呟き、少年は腰をおろす。
少し幼く、中性的な顔つきをした少年だ。
眠たそうな目を擦りながらやはり空だけを見上げて座っている。
口をつぐむと、校庭で体育の授業をしているむさ苦しい教師の大声だけが響いた。情熱的すぎて生徒からは煙たがられていることで有名だ。
「おお~、やっぱここに居た~。ゆこの言うとおりやな」
そんな空気を、鉄製のドアを豪快に開ける音と、ひときわ明るく大きな声がぶち破る。
後ろを振り向くと、そこには軽く180センチは越えているだろう大きな男が太陽のように眩しい顔で立っていた。
太陽の光を受けてきらきらと光る銀色の髪が目立つ。鬣(たてがみ)か鶏冠(とさか)のように後ろに靡いている。
「あ~、銀兄ぃおはよう。どしたの? おさぼり?」
銀兄ぃと呼ばれた男、華宮銀二 (はなみやぎんじ)は細めな目をさらに細くして人懐っこい笑みを浮かべている。
嬉しそうに少年の横に座ると、話し始める。
「にゃはは。ゆこがめぐがサボってるって言うからさ、『連れ戻してきて~』って言われたから一緒にサボろうと思って」
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