Ti Amo

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「今度」はすぐにやってきた。 あれから五日後、ドイツからお菓子が届いたと、慎一郎さんがやってきた。 慎一郎さんもまたヨーロッパを中心に貿易会社を経営しており、手には赤い包みの、焼き菓子らしいものを持っていた。 「これは残念、お父様は不在ですか」 「えぇ、ちょうど北京の方へ出張に出たばかりなの。でも嬉しいわ。あぁ見えて父は甘党なの」 「そうですか、それは良かった。うちは反対に家内が甘いものが苦手でね」 “家内“という言葉に体がびくっと震えた。 そうよね、こんな素敵な方なら奥様だって・・・ 「じゃあ、今日はゆっくり鳥を見せていただけますね」 彼の瞳はまっすぐで、怖いくらいに美しかった。
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