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「この鳥、名前は何と言うんですか?」
「リベル・・・“liberte“よ」
「フランス語で“自由“だね」
「さすが、お詳しいですね・・・」
「なぜ、この名を?」
「私は自由にはなれない身、だからせめてこの子には自由をあげたかったの・・・」
籠の中の鳥にも、せめて名前だけでも自由をあげたかった。
「あ、ごめんなさい、こんなつまらない話・・・」
「いや、いいよ・・・ところで、この前の傷は大丈夫?」
慎一郎さんがそっと私の手を取る。
一瞬びくりと震えてしまう。
「うん、大丈夫そうだね」
そう言って慎一郎さんが優しく私の傷口にくちづけた。
「な・・・っ何をなさるんですか!?」
「初めて会った時から、ずっとこうしたかった。君も・・・違う?」
薬指にキスをしながら、吸い込まれそうな深い瞳で私を見つめる。
「でも、私には婚約者が・・・あなたにだって奥様が・・・」
「それは、言わないでくれ。もっと早く会えたら・・・君と知りあえたら・・・
僕は間違いなく君を選んでいたよ。一目惚れなんだ」
そう言って彼は私の頬に手を添えて唇を合わせてきた。
優しいキスから深いキスへ・・・
私は息をするのも忘れて、彼に身を任せていた。
「こういうの・・・初めて?」
私は見透かされた様で真っ赤になった。
そして耳朶を甘噛みされ、自分でも知らぬ間に吐息が漏れていた。
首筋から胸元へ・・・
私は生まれたままの姿で愛される悦びを知ってしまった。
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