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あまりのことに、直久は言葉を失った。
信じられないものを見るかのように、目の前の少女を見やれば、彼女はヒラヒラと片手を振る。
部屋を出ていけと言うのだ。
部屋――そこは生徒会室である。
少女の名は、森岡いずみ。
背が高く、ちょっとつり目の彼女は、生徒会長だ。
口数が少なく、冷たい印象のある彼女とは、できることならば関わりたくない直久だった。
たが、今回はそうはいかない。
彼女に頷いて貰わなければならないことがあるのだ。
「だけどさー。去年はちゃんと許可が出たんだぜ。今年も去年と同じことをやりたいんだよ。んで、バスケ部の夏の恒例行事にしたいわけ。わかる?」
「それは何度も聞いた」
「それじゃあ!」
森岡はため息をついた。
頭を左右に振る。
「何度も言うようだけど。去年、許可が出たこと自体が異例なことなの。あり得ないの。分かった?」
「わかるかーっ」
ダン、と彼女の目の前で机を叩き、直久は大声を上げた。
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