1.年がら年中、元気! 天気! 勇気!

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世の中には、偉大な人物がいる。 直久にとって身近なそれは、深沢高明である。 一つ上の先輩である彼は、去年まで直久と同じバスケットボール部の部員だった。 彼にボールが渡った瞬間の緊張感。 それは同じコートにいなければ分かり得ないことかもしれない。 皆、思わず息を呑むのだ。 敵も味方も彼を目で追う。 ゴールが吸い寄せているかのようだ。 彼が放ったボールは何か別の物のように、ゴールをくぐっていく。 手品、いや、魔法のような瞬間。 音が静かに体育館に響き、空気を切り裂いた。 歓声。 そして、止めていた呼吸を思い出す。 ――とにかく、二人といない凄い選手だった。 誰よりも上手で、それを傲ることがないので、誰からも信頼されていた。 もちろん、直久も彼に憧れていて、たった2年間であったが、彼と同じコートに立てたことは、直久にとって誇りであり、自慢でもある。
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