1953人が本棚に入れています
本棚に追加
目の前にあるこれは校舎であっているのだろうか、と疑いたいのである。
「………」
間違えないだろうけど、認められない自分がいる。
雪羽の目の前には
白が目につく宮殿。
(ハハハ…
どんだけ金持ち学校なんだよ~☆)
現実逃避したい気持ちを極力押さえて宮殿…否、校舎の中へと入った。
目に飛び込んできたのは赤い絨毯。
お決まりだ。
「確か…理事長室は1階ですよね」
絨毯くらいでは驚かない。
こんな絨毯くらい雪羽は見慣れている。
一応、桜月財閥の御曹司、兼社長代理なだけはある。
常に上位をキープしていた桜月財閥は、天才社長代理の少年のおかげで
桜月財閥は日本№2にまで追い詰めた。
「あ…」
何かを思い出したように雪羽は声を漏らした。
(鳳条院英士……鳳条院財閥の次期社長じゃん!)
しかし、雪羽には関係がない。
(僕は〝次期社長〟じゃないからなぁ…)
鳳条院財閥を敵視する必要はないし、あんな態度を取っても雪羽には何の支障はない。
たとえ、桜月財閥の御曹司だとしても、社長代理だとしても。
雪羽は後継者ではない。
「あった…」
理事長室。
大きな扉は少し古びているが立派な物だ。
コンコン
「雛月雪羽です
失礼します…」
静かに扉を開けて部屋に入る。
次の瞬間、ギュ~っと抱き締められた。
抱きつかれた事により雪羽のポーカーフェイスは崩れ、みるみる内に嫌悪の表情を浮かべた。
「離れろ脳みそ腐ったヘタレ野郎」
「酷いなぁ雪羽
だから言ったろ?
パぁパ☆って呼んでw」
気持ち悪い、と悪態を吐き雪羽は無理矢理光哉を押し退けた。
「テメェーみてぇな気まぐれ野郎を父親だと思いたくもねぇよ」
毒舌な雪羽を楽しそうに、聞こえていないかのように優しく眼差しを送る光哉。
そけには父親としての光哉が居た。
それに気付かないのは雪羽だけだろう…。
.
最初のコメントを投稿しよう!