-第1話-

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目の前にあるこれは校舎であっているのだろうか、と疑いたいのである。 「………」 間違えないだろうけど、認められない自分がいる。 雪羽の目の前には 白が目につく宮殿。 (ハハハ… どんだけ金持ち学校なんだよ~☆) 現実逃避したい気持ちを極力押さえて宮殿…否、校舎の中へと入った。 目に飛び込んできたのは赤い絨毯。 お決まりだ。 「確か…理事長室は1階ですよね」 絨毯くらいでは驚かない。 こんな絨毯くらい雪羽は見慣れている。 一応、桜月財閥の御曹司、兼社長代理なだけはある。 常に上位をキープしていた桜月財閥は、天才社長代理の少年のおかげで 桜月財閥は日本№2にまで追い詰めた。 「あ…」 何かを思い出したように雪羽は声を漏らした。 (鳳条院英士……鳳条院財閥の次期社長じゃん!) しかし、雪羽には関係がない。 (僕は〝次期社長〟じゃないからなぁ…) 鳳条院財閥を敵視する必要はないし、あんな態度を取っても雪羽には何の支障はない。 たとえ、桜月財閥の御曹司だとしても、社長代理だとしても。 雪羽は後継者ではない。 「あった…」 理事長室。 大きな扉は少し古びているが立派な物だ。 コンコン 「雛月雪羽です 失礼します…」 静かに扉を開けて部屋に入る。 次の瞬間、ギュ~っと抱き締められた。 抱きつかれた事により雪羽のポーカーフェイスは崩れ、みるみる内に嫌悪の表情を浮かべた。 「離れろ脳みそ腐ったヘタレ野郎」 「酷いなぁ雪羽 だから言ったろ? パぁパ☆って呼んでw」 気持ち悪い、と悪態を吐き雪羽は無理矢理光哉を押し退けた。 「テメェーみてぇな気まぐれ野郎を父親だと思いたくもねぇよ」 毒舌な雪羽を楽しそうに、聞こえていないかのように優しく眼差しを送る光哉。 そけには父親としての光哉が居た。 それに気付かないのは雪羽だけだろう…。 .
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