-第1話-

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はい…?と聞き返したくなる衝動を堪えてにっこりと笑う。 「ではどうして門に…?」 「只の散歩だ」 素っ気ない態度をとる英士、何様だよ。 「そうですか… でしたら僕に近付かないで下さい 僕、貴方のような人に好意を抱けないので」 どちらかと言えば嫌いなタイプだ。 「……俺に好意を抱けない奴なんて居ない」 (…僕が居るっつの!) 話を聞かない自意識過剰な奴が 大の苦手な雪羽は顔をしかめながら英士を見た。 確かに美形…カッコイイのだが、性格が最悪だ。 「まぁお前みたいなオタクには好意を抱かれたくないがな」 ふふ…、と小さく笑い雪羽は笑みを崩さないで 見下したような眼差しで英士を見つめた。 「理事長が待っていらっしゃるので… 僕はこれで失礼します」 少しだけ頭をペコッと下げるて校舎がある筈の方向へと向かう。 英士が雪羽の気を引こうと何かを叫んでいたが 雪羽の耳には風の囁きにしか聞こえなかった。 「さて、初代理事長はどうしてこんな学園を設計したのでしょう…?」 広すぎる学園内。 外からでもそれなりに大きいと思っていたが、これ程までか…。 創立されたのが何百年前と言うこの学園は、引き継いだ代々の理事長達の好みで、何度も改装を繰り返している。 その好みはバラバラで、もうメルヘンと言うか… 兎に角、歪(いびつ)な空間を作り上げている。 「確か……この辺に校舎がある筈ですよね…」 外では絶対敬語。と言うかこのオタルックの時は絶対に敬語を崩さないように 心がけている雪羽は、独り言も敬語だ。 「……あれ…?」 (ここ…学校だよな…?) 疑問に思い首を傾げる。 .
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