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「七香の事が、好きやねん」
突然の告白は、普通に冗談だと思った。
もしくは、私と距離を作るためのウソだと、思った。
でも、冗談でもウソでもなくて、詠二は真っ直ぐと私を見て、好き。だと言った。
大学時代、サトミちゃんを見ていた眼。
その眼が、今は何故か私を見ていて、
あ、本気なんだ。
と思った。
* * *
あの告白から、2ヶ月弱。
「絶対にイヤガラセやろ?」
そう呟く声は、詠二。
そして、私は詠二のベッドで狸寝入り中。
ちなみに、私達の関係に変化は無い。
本当に、面白い位に変化無し。
私を好き。とか、やっぱ冗談なんじゃないかな?って、思いたくなる程にね。
詠二に告白されて、すっごい悩んだ。
結構、本気で。
土日いっぱい使い切る位、悩んだんだ。
で、気付いた。
嫌いな相手とか無い相手なら、速攻拒否なのよね?普通。
つまり、私の中で詠二は無い相手じゃなくなってた。って事。
ま、だからって好きな訳でもないんだけどさ。
ただ、居心地の良さで詠二に勝る相手が居ないのは確かで。
恋愛にときめきよりも、安らぎを求めちゃう年齢だったりもして、
「それとも、試してん?」
うん。
試してるんだと、思う。
出会いが最悪で、築いた関係も最悪で。
私への罪悪感が消せない詠二と、詠二への恐怖心をスベテは拭えていない私。
時々、酔ったフリをして泊まる私に、詠二は指1本触れてはこなくて、
私達は、前へ進まない。
って言うかさ。
大体が詠二って、好きな女にはヘタレなのよね?
どーでもいー女は、ばーんばん口説き落とすクセにさ。
やっぱ、やめよっかなぁ?
何か、詠二と私が付き合う。とか想像できないし。
心地良いし楽だけど、僅かながらも残る恐怖心はある訳だし?
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