90%の拒絶と10%の懐かしさ

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  あれから、5年。 一応は、私の中では過去の苦い思い出位にはなってる。 レイプ。 と言う程のモノじゃない。 無理矢理は無理矢理でも、最終的に受け入れたのは私。 確かに、あの直後は流石に気持ち悪くて、少しの間、大学に行けなかったけど。 それでも、奴が徹底して私の前に姿を見せない様にしていた事も知っていたし、 底辺にあった感情がソレよりも下る事はなく、消化できていた自分も居た。 でも、だからって、本人目の前にするのはどーよ!? 何で今更、再会なんてしなきゃならないの? しかも、同じ会社って何でよぉぉぉ。 研修の時、居たっけ?アイツ。 や、居ないよ。 居たら、気付いてる筈だもん!絶対に!! って事は、中途か???   「おい、コラ!!」   休憩室に入ってきて、 私を見るなり踵を返した奴を、思わず引き止めた。 「人の顔見て逃げるって、ちょっと失礼なんじゃないの?」 「…………、」 私の言葉に、ゆっくりと振り向いた詠二はヒドイ表情を浮かべている。 キレーな顔、台無し。 「まるで私が悪者みたいじゃないよ」 「……ごめん」 今にも泣きそうな位、情けない顔してるって、自覚あるのかしら?この人。 って言うか、私が被害者だった筈なんだけど?? 「ごめん、て」 「謝って許される事やないのは解ってんけど、……ごめん」 「あのさぁ、」 「二度と顔見せるな。言われとったのに、」 や、だからさ。 「仕事なんだから仕様がない事でしょ?私もアンタも社会人なんだから」 「……せやけど、」 「それとも何?私が、目の前から今すぐ消えて。って言えば、辞表でも出してくれるの?」 言った私に、詠二は私をシッカリと見返して、 「七香がそうすれ言うんやったら」 と言った。 ハッキリと、真剣な表情で。 「…………あのねぇ、」 思わず、盛大なため息が漏れる。  
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