99%の嫌悪と1%の情

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  俺らの距離は、一定やった。 ただ、お互いの事を嫌い。 それだけで成り立っとった関係。 憎い程、嫌いやない、 好きやと思えるトコロも、ない、 ただ、嫌い。 それだけの事。   「目障りやから消えろや」 これが、最初の言葉。 偶然知った、ダチの浮気相手。 翔にはサトミが居る。 ソレを、この女は当然知っとった筈。 せやのに、 「教わらんかったん?自分がされて嫌な事は人にしたらあかんねんで?七香ちゃん」 サトミの彼氏である翔と、関係をもった女。 翔も最低やけど、この女も最低や!! 言う俺から逃げる様に俯く、まるで被害者気取り。 これだから嫌やねん。こーゆー女は。 「自分、加害者やねんから、被害者側になろうなんて甘い考えせんといてな?」 翔からの別れの言葉なんて、待たせんで? サトミが気付く前に消えろ。 「加害者は加害者らしく、罪償えや」 誰かに責められて、傷つけられて、 ソレで自分の罪を償えるなんてのは、加害者の自己満足や。 自分で一生背負うんが罪の償い方やろ? * * * 最初の会話から、半年。 監視目的で近付いた距離は、未だに継続中。 「いつまで見張ってる気?」 「あー?」 まぁ、半分は授業の関係、残りは七香へのイヤガラセみたいなモン。 「別に、今更、翔に近寄ったりしないわよ。私だって」 「…………へぇ」 やけど、会話は最初から見れば減った。 嫌いや言い合う事も前より少ななって、 ただ、七香の近くに居て、 自分でも、よぉ解らんくなってた。 「せやったら、イヤガラセ。ちゅう事で」 「イヤガラセ。ねぇ?」 言うた俺に、七香は興味無げに言葉を返す。 お互いに、イロイロな事が面倒やったんかもしらん。 「っ、ちょっと」 「あー」 その膝に頭を乗せても、重いんだけど?の一言で済まされる。 「眠い」 「…………ったく、」 愛情とは全く違う意味で、居心地は良かった。 何の遠慮も必要ないから、楽やった。 「壊れてる??私」 嫌いな男を膝枕する七香の呟き。 せやけど、壊れてるんは俺も同じ。 嫌いな女の側が、居心地がいい。 嫌気が差す程。    
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