99%の嫌悪と1%の情

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  * * * 訪れた重い静寂。 ゆっくりと七香が起き上がって、少し空気が動く。 涙の一粒も零さなかった。 床に散らばった服を着る、その姿を見つめる。 一分一秒ココには居たくない。と、その背中が言ってるみたいに見えた。 「帰る」 そう呟いた声は、小さくて震えて、 「七香」 「何?」 せやけど、呼ぶ声にゆっくりと顔をあげる。 あんな事した男を真っ直ぐと睨みつけて、ふと口許に笑みをカタチどった。 「二度と、私の前に現れないで」 そう低く呟いて、 その背中は、俺を完全に拒絶した。 部屋を出て行く音が、静寂に大きく響く。 見つめる暗闇には、何もない。 ベッドに残る、僅かな体温。 「……、」 零れた、笑い。 可笑しい事は、ない。 終わった。 コレで、終わる。 「な、な、……か」 それでも零れる笑いは、 いつの間にか、涙に代わった。 俺と七香の距離。 ソレは一定。 お互いを嫌い。 ただ、それだけで成り立っとった。 ソレに変化が訪れれば、そこでオシマイ。 愛情には変わらん気持ち。 やったら、残るんはその逆。 そして、 俺らのバランスは簡単に、 崩れる。 一定だった距離。 離れたソレは、二度と元には戻らん。 この夜。 彼女へ抱いた想いは、 恋愛感情よりもずっと深い、何か。 [次へ]
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