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「…………ちょっと」
「っ、な、なん?」
「その泣きそーな顔、やめてくんない?私が苛めてるみたいじゃない」
あれから、飲まなくなった酒。
男同士の宅飲み以外、酒は付き合い程度と決めてる。
「ごめん、な」
「……ホント、ウザイわ」
呆れた表情を見せる七香に、作ってみせた笑顔はため息で返された。
きっと、また情けない顔してんやろーな。
「……ごめん」
「それ以上言ったら刺すわよ」
突きつけられたフォークに、笑みが浮かんでしまう。
ソレに満足した様に、七香の表情も変わって、
「悪態ついてこない詠二って、ホント気持ち悪いから」
「……七香は変わらんもんな」
「言われたら言われたで、腹立つけど」
交わす会話。
昔の様な、そのテンポに、
居心地の良さを感じる自分が居る。
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