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私は転がり落ちてきたペットボトルを拾った。
中身は空だ。
私が昨日飲み干して、そのまま蓋も閉めずに机の上に放置した。
開けっ放しの窓からは、綺麗な青空が見える。
パステルブルーの空に、霞むような雲。
絵を描きたい。
私は突然の創作意欲に体を起こした。
『う…』
隣で声がし、私は隣の男に目をやった。
男と私の体には布団が一枚かけられていて、何が営まれたか第三者にでも取ってわかる状況だった。
『…』
私は男を起こさないようにベッドから出ると、落ちている衣類の最低限を拾い、別室に移った。
無駄に広い、マンションの一室。
そこには油絵具の独特の匂いが染み入っていた。
私はそれが好きで、ここにいるのが酷く落ち着いた。
『よし』
私は床に座り込むと、スケッチブックと色鉛筆を取り出した。
創作意欲は私を尽き動かした。
右手が動く。
ミャア、と静かな足音をたててチャドルが部屋に入ってきた。
しなやかな足取りと背中から尾にかけての色気を眼にし、私は新しいページを開いた。
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