はじめに

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 …う…うん?…何時だ?…!? 遅刻だ。  いつも家を出る時間。それが今だ。  やべっ。10秒で着替え、バッグとブレザーを手に持ち階段を駆け下りる。そして食卓に用意されているトーストを口にくわえ、ブレザーに片腕を通し、 『ヒッへヒハ~』(いってきま~す) と言いながら家を出る……な~んてことは絶対にない!そんなのはマンガやドラマだけだ。 実際はと言うと、時計を見て遅刻が確定した瞬間、落ち着いて顔を洗いに下に下りる。逆に普段より行動が遅くなるものだ。そしてテーブルにどっしりと腰を据え、必要以上に納豆をかき混ぜる。朝のニュース番組のいつもは見れないコーナーを楽しんだ後家を出る。これが正解だ。  あっ、言い忘れていたが俺は、京介。伊田京介。高校2年。これと言って秀でたとこの無いマイペース人間だ。可もなく不可もなく、いわゆる『普通』ってやつ。若干遅刻は多いが、悪事をはたらく悪い子ちゃんではない。ただ遅刻が多いだけ。いるだろ?そういうやつ。  そんな『普通』なやつが送る『普通』な生活、それが『普通』でなくなる時が急遽訪れた。神のいたずらとはよく言ったものだ。こんなに神さまがいたずら好きとは知らなかったぞ。
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