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何だかんだでやっと昼休みになった。学食のカレーを食べるのが俺の日課だ。今日はいろいろあったからやけに一日が長く感じる。もうすでにくたくた。『京介さぁ、今日何かいつもと違くね?』
毎日一緒に飯食ってる木元(きもと)だ。こいつとは一年からの付き合いだ。なかなか鋭いツッコミをしてくる。
「そうか?別に普通だぞ。」
『いやいや俺には分かる。何かあっただろ?今日の遅刻は怪しい。』
「いつもの遅刻だって。ま、駅前でここの生徒が車にひかれそうになったってのはあったけど。あれはちょっと焦ったけどな。それぐらい。」
『マジでかぁ?何かもっと面白いことがあると思ったのに。女絡みとかで。』
あれは隠すべきなのかよくわからんが、とりあえず隠した方が良さそうだな。上手く説明できないし。
『ねぇ、伊田くん!ちょっと遅刻し過ぎじゃない?』
おっと、反対隣の席でサンドウィッチを食べているのはうちのクラスの学級委員、片桐夏希(かたぎり なつき)ではないか。
「分かってんだけど、やっぱ朝弱くてね。」
『伊田くん進学するんでしょ?知らないわよどうなっても。』
こいつは真面目すぎるんだよなぁ。結構見た目は悪くないんだけど。何と言うか、面白味が無いと言うか。女子からもあんまり好かれるタイプではないな。もったいねーな、顔がいいだけに。笑ったりしたの見たことねーかも。笑顔ヤバそう。
『何っ?そんなにジッと見て。そんなにキツイこと言った?』
『あっ!?い、いや別に。分かったよ。気をつけるよ。』
何だかバツが悪いからさっさと食ってこの場を去ることにする。
午後の授業はいつも通り淡々と過ぎていった。…が、いつも通りでないことが一つ。片桐だ。学級委員の。そいつを妙に意識してしまっていた。今まで全然気にならなかったのに…。俺にはキリコがいるのに。俺も浮気っぽいやつだなぁ。でも何か好きとかじゃないんだな。よく分かんないけど、気になる。これはあれか?エジプトの考古学者が未だ知られざるピラミッドの謎を追い求める。みたいな実態が解らないものを知りたがる人間の本質みたいなものか。あいつは結構謎めいてるもんな。ま、いいか。それよりも早くミッションをクリアしてぇなぁ…。
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