・車内

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千奈はパソコンにつけているイヤホンから聞こえた音をそのまま匡一に伝えたが、音の中に太一の声が混じっている事に気がついた。 千「ほら、匡兄も聞いてみてよ!今からイヤホン外して聞こえるようにするから。」 千奈はそう言って、パソコンからイヤホンを抜き、音量を上げて匡一に聞こえるようにした。 『ガタッ!ガーァー、イタッ!ゴンッ!アタマ…ガンッ!…ッタ!ツーカ…パ…ゴンッ!ダシ!!』 車のエンジン音に混まじって時々、太一の声が聞こえてくる。 匡「大丈夫そうだな。」 千「うん、よかったわ。まだ完全に怪我をしてないってわかったわけじゃないけど、『イタイッ!』って声が出せるって事は、しゃべれないほどの怪我はしてないって事だしね。」 千奈はほっととしたような表情でそう言った。 匡「そうだな。」 匡一も少しだが、安堵したよな表情をした。 千「それにしても、かなり山の奥まで入って行っているみたいね。」 千奈はパソコンで太一の位置を確認しながら言った。 匡「矢沢の方はどうだ?」 千「太一の通った道を追いかけるように進んでるわ。」 匡「そうか。何か変わった事があったらすぐに知らせろ。」 千「了解。」 その後、匡一は運転に集中し、千奈はパソコンで何かごそごそと作業を始めた。
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