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栄「その人が北田病院から国見病院に転院したらどうかと言ってくれたんだ。国見病院の方が少しだけれども、設備は良いはずだからと。」
栄吉は前を向いて運転したまま話を続けた。
花「じゃあ、今日はその警備員の人に会いに行くの?なら、あたし居なくても大丈夫じゃない?」
栄吉の話を聞いて、花矢は不思議そうにそう言った。
栄「そうだな。実は花矢についてきてもらったのは、前から言ってた話があるだろ。ほら、母さんの好きだった自然に囲まれた所の近くに別荘を買って毎年1回母さんの命日の日に必ず行こうって。」
花「うん。じゃあ、どこか良い場所が見つかったの?」
栄「良い場所かどうかは行ってみないと分からないが、今話した相談に乗ってくれていた元警備員さんから2週間前くらいに連絡が来て、ここはどうかとススメてくれた場所なんだ。」
花「ってことは、途中でその人と会って、そのオススメの場所に案内してもらうってことね。」
栄「あぁ。まだ待ち合わせ場所にはつかないから寝てても大丈夫だぞ。近くなったら起こしてやるから。」
栄吉はそういうと、流していたラジオの音量を少し下げた。
花「大丈夫、眠くないから。」
栄「そうか。」
花「そういえば、自然に囲まれてるってことは山に行くのよね。」
栄「あぁ。山の中にペンション風の別荘があるそうだ。」
花「そっか。楽しみだな。山に行くのなんて久振りだし。」
花矢はうれしそうにそう言った。
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