・脱出

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花矢は太一の言っている事がわからず、繰り返して同じ事を呟いた。 太「沢木が今まで殺してきた人達で俺が詳しく知っている中では、1人で殺されている人はいないんだよ。」 花「1人で殺された人はいない?」 太「そう。必ず2人一緒に殺されてるんだよ。それも、夫婦で。」 花「だから?」 花矢は太一が言いたい事が分からず、そう聞き返した。 太「簡単に言うと、沢木は大事な人を目の前で殺す事を楽しんでるんだよ。1人だけを殺すなら簡単だけど、それじゃあ、楽しめない。沢木は殺人を娯楽だと思ってるんだよ。だから、今回も花矢ちんのお父さんを殺す事が目的だとしても、それの瞬間を俺たちに見せるのも沢木の目的の1つなんだよ。」 太一は自分の手を力強く握りながら難しい顔で言った。 花「そうなんだ…。じゃあ、今はあたし達が居なくなってるから、父さんを捕まえる所で沢木って人の計画みたいなのは止まってるって事?」 太「うん。確証はないけど、かなりの確率でそうなってるはずだよ。それにさ、沢木は部屋を出る時に『メインゲスト』って言ってたの覚えてる?」 花「うん。じゃあ、その『メインゲスト』が父さんってことよね。」 花矢はウンウン頷きながら、そう言った。
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