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千「なるほどね。かなりの自信家だと思ってたんだけど、実はその逆なのね。全国大会でわざと負けたっていうのも本当は、勝てないと思ったからなのね。」
和「…そうだ。こんな俺に会社なんか帰れると思うか?」
こう言った和雅は自嘲の笑みを浮かべていた。
千「できるか、できないか、なんてあたしにはわからないわよ。」
和「俺には…。」
千「でも『やる、国見は俺が変えてやる』っていうやる気があるのなら、あたしが協力してあげてもいいわよ。」
千奈は和雅の言葉を遮り、そう言った。
千(なんかちょっとかわいそうに思えてきたわ…。)
心の中でそう思いながら。
そして、リュックからメモを出して何かを書くとそれを和雅に渡した。
和「これは?」
千「もしやる気が出たら、いつでも良いからこのメールアドレスにメールを頂戴。それ、あたしの携帯アドレスだから。さてと、あたしは言いたい事言ったし、あなた1人のためにこれ以上かまってる暇はなにの。早くこの気絶してる男たち連れて家に帰りなさい。」
千奈はそう言って、和雅をその場において、匡一の向った方向に向かって走り始めた。
和「…初めてだ…。」
そんな千奈の後ろ姿を見ながら、和雅はボソッと呟いた。
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