・説教

11/11

4272人が本棚に入れています
本棚に追加
/791ページ
千「なるほどね。かなりの自信家だと思ってたんだけど、実はその逆なのね。全国大会でわざと負けたっていうのも本当は、勝てないと思ったからなのね。」 和「…そうだ。こんな俺に会社なんか帰れると思うか?」 こう言った和雅は自嘲の笑みを浮かべていた。 千「できるか、できないか、なんてあたしにはわからないわよ。」 和「俺には…。」 千「でも『やる、国見は俺が変えてやる』っていうやる気があるのなら、あたしが協力してあげてもいいわよ。」 千奈は和雅の言葉を遮り、そう言った。 千(なんかちょっとかわいそうに思えてきたわ…。) 心の中でそう思いながら。 そして、リュックからメモを出して何かを書くとそれを和雅に渡した。 和「これは?」 千「もしやる気が出たら、いつでも良いからこのメールアドレスにメールを頂戴。それ、あたしの携帯アドレスだから。さてと、あたしは言いたい事言ったし、あなた1人のためにこれ以上かまってる暇はなにの。早くこの気絶してる男たち連れて家に帰りなさい。」 千奈はそう言って、和雅をその場において、匡一の向った方向に向かって走り始めた。 和「…初めてだ…。」 そんな千奈の後ろ姿を見ながら、和雅はボソッと呟いた。
/791ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4272人が本棚に入れています
本棚に追加