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黒「そうだったんですか。でも…すごいですね。」
黒スーツはびっくりしながら言った。
太「すごくないですよ。実は言うと…一種の賭けだったんです。」
太一は苦笑を浮かべてそう言った。
黒「賭け?」
太「はい。あの弾が本当にあれくらいの距離ではじけるのかわかりませんでした。あと、今は追い風でしたけど、この風が向かい風だったら、あのこしょう俺たちの方に飛んできてたかもしれないんです。」
黒「でも、そんな事を感じさせないくらい自然な動きでしたね。」
太「そうですか。ならよかった。実は内心ヒヤヒヤしてたんですけどね。」
黒「そうだったんですか。あっ、あの…そろそろ私1人で歩けます。」
黒スーツはそう言って、1人でなんとか立ちあがった。
太「よかったです。そこまでひどい怪我ではないみたいで。」
太一は安堵したようにそう言った。
黒「はい。なので、私とはここで別れましょう。あなたは早く矢沢さんの所へ戻ってあげて下さい。」
黒スーツは太一を真剣な顔で見ながら言った。
太「…でも…。」
怪我をしている黒スーツを1人で行動させるという事に不安を持つ太一。
黒「あなたも怪我をしているのに、さらにまともに動けない私は足でまといになります。それに、このままゆっくりでも下に降りていけば車が隠してあるんです。だから、ここからは1人でも大丈夫です。」
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