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太「気づいてたんですね。」
と太一は苦笑しながら言った。
実は痛みが落ち着いていた肋骨が黒スーツを支えて、移動しているうちにじわじわと痛みが戻ってきていた。
黒「えぇ。支えてもらって歩き始めてから何度か顔をしかめていたのがわかりましたから。それに、何よりあなたが怪我をする場面を見ていたので。あと、遅くなりましたが、助けていただいてありがとうございます。」
黒スーツは申し訳ないという表情で頭を下げた。
太「頭上げてください。それが、あなたの仕事だったんですから、俺は気にしてませんから。」
黒「本当にすいませんでした。」
太「もう気にしないで下さい。それより、気をつけて下って行って下さいね。」
黒「はい。あっ、矢沢栄吉さんを連れて行動しているのは中野さんです。早く娘さんの所へ行ってあげて下さい。中野さんは手段を選ばない人なので。」
太「わかりました。色々情報ありがとうございます。」
太一はそういうとすぐに花矢の所に向かって走り始めた。
その太一の後姿を見ながら、
黒「私と一緒に行動していたら必ず沢木さんに場所がばれてしまいますから。」
と黒スーツが呟いた言葉は太一には聞こえなかった。
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