・花矢と栄吉

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花「ねぇ父さん…今の言い方だとあたしだけ逃げろって言ってるように聞こえるんだけど?」 花矢は苦笑を浮かべて栄吉に聞いた。 栄「あぁ、そうだよ。」 花「ダメ!太一が早く逃げてって言ったでしょ!あたし達が逃げないと太一の邪魔になっちゃう!」 花矢は、太一の足手まといにならないよう栄吉と2人で山を下りて、助けを呼ぶつもりでいた。 栄「わかってる。早く助けを呼ばないといけないというのはわかってるんだ。」 花「わかってるならどうしてあたし1人で逃げろなんていうの?!」 栄「ごめん花矢。どうしてもあの建物の中に取りに行きたいものがあるんだ。だから、花矢は先に山を下りてなさい。人に見つからないようにゆっくりでいいから。」 嫌がる花矢の肩を押さえて、やさしく頭をなでながら言った。 花「嫌!あたし1人でなんて無理!さっきまでだって、太一が一緒に居てくれたから、なんとか大丈夫だったけど、1人じゃ無理だよ!」 栄「…はぁ…わかったよ。じゃあ、ここで隠れて待ってなさい。で、もし父さんが帰ってこなかった時は、1人でも山を下りなさい。わかったね。」 栄吉は諦めたように溜息を吐いてそう言った。 花「嫌よ!あたしも父さんについて行く!」 栄「花矢…言う事を聞きなさい。こんなことにお前を巻き込んだだけでも、母さんに怒られるなと思っているのに、もしお前に何かあったら、母さんに顔向けもできなくなってしまう。」 栄吉は苦笑を浮かべてそう言った。
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