~一日目~

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   背中に熱い視線を感じつつ、市を出て、里を後にする。  向かう先は、昨日も出向いたあの森。  果たしておっちゃんが言ってた事が本当なのか、直接聞き出してみなければ。   「さて、どうやって呼び出す?」    森に着いたはいいのだが、バルサ〇ンは前回捨ててしまってどこへ行ったか分からない。ていうか、使ったら嫌われる気がするから控えよう。  平和的に害を出さずにリグルを呼び出す方法……。   「んー、んー……ほいっと」    異次元ポケットから取り出したのは、装飾は金一色、直径は約60㎝、平べったい円の中心は外側に窪んでいる……俺のいた世界ではシンバルと呼ばれる物だ。  これを力の限り……   「鳴らしまくる!」    『シャーン!』と辺り一面に澄んだ音が響き渡るが、至近距離で鳴らす俺は聴覚に大ダメージ。グレイズ失敗。  そろそろ俺の聴覚が面白いことになりそうな頃、ようやくリグルが出てきた。   「う・る・さーい!」   「あん!? なんだって!?」   「うるさいって言ってるの!」    耳をギリギリと引っ張られ大声で喋られる。   「オーケー分かった! 少し待ってくれ!」    聴覚が回復するまで数分間、リグルは憮然とした表情で俺を見ていた。ていうか、睨まれてた。   「うっし、回復」   「……で、何か用?」   「話が早くて助かる。実はだな……」    俺が里での会話の内容をリグルに伝えると、顔をしかめっ面に歪めた。   「んー……分からないなぁ」   「そうかー……もし何かあったら教えてくれ。その時はコレで呼んでくれ」   「……何、これ」   「笛」    リグルに手渡した物は、犬笛ならぬ『俺笛』だ。吹くと俺にしか聞こえない周波数の音が出る。   「笛……ねぇ」   「落とすなよ? もう二度と作れないだろうから」   「はいはい……」    溜め息を吐き、俺笛をポケットにしまいこんだリグルは、用は済んだでしょうといった感じに踵を返し   「じゃあ私は帰るね。一応あんたの方でも調査してみてくれる?」    そう言った。  まぁ一応俺の方でも調査するけどもさ   「なぁ、リグルさんよ」   「なによ」   「名前で呼んでくれんか? 凄い淋しいんだが」   「別にいいけど、名前は?」   「晃太」   「コータね、分かった。じゃあね、コータ」    ひらひらと手を振り、リグルと別れる。   「はぁ……」  
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