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「私があなたに名前をつけるの?」
ミカは自分と龍とを交互に指差している。
龍は肯定の意味を込めて首を縦に振る。
『名付けるといっても、ミカが呼びやすいあだ名をつけるようなものだ。気にすることはない。』
ミカは腕を組んで、唸っていた。
龍はコロコロと変わるミカの表情を眺め、楽しんいた。
「ねぇ、鱗に触ってもいい?」
龍はミカの方へ首を伸ばし、触れやすい位置まで持っていく。
ミカはゆっくりと真紅の鱗に触れ、優しく撫でた。
『熱くはないか?』
身体の中で炎を生成する龍の体温は、人のそれよりも遥かに高い。
龍は意識的に体温を下げてはいるのだが、子供のミカが火傷をしないか不安だった。
「あったかいわ。それに凄く綺麗。」
ミカは触っていた首に抱きついた。
龍は驚いたが、ミカが気持ち良さそうにしているのを見て、なるべく呼吸もせず動かないよう気を付ける。
「決めたわ。あなたの名前は、ガーネット。宝石みたいな綺麗な姿だもの。」
首を抱きしめながら、ミカは呟く。
龍がもう一度よく聞こうと顔を近付けると、ミカはパッと顔をあげる。
「うん、ガーネットで決まりね。ガーニィって呼ぶわ!」
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