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龍はその鼻で大きく息を吸い込む。
周囲の空気を全て吸い切るかの勢いに、ミカは自分の付けた名が気に入らなかったのかと、不安そうな表情を見せる。
『………ふむ。ガーネットか、なかなか良い名だ。気に入ったぞ、ミカ。』
「そぉ!?良かった!よろしくね、ガーニィ!」
ミカはガーニィの言葉に眼を輝かせ、ガーニィの鱗を抱きしめて頬を摺り付けている。
どうやら鱗の感触を気に入ったようだ。
“誰かに名を呼ばれるということに、これ程心を動かされるとはな…、これがこの少女の力か……”
ガーニィは自分の首に戯れるミカを穏やかな眼で見つめた。
眼を閉じ、気持ち良さそうにしていたミカだったが、また何かを思い出したようにガバッと顔をあげる。
「ねぇ、ガーニィ。あなたは龍なのよね?」
ミカの確認に頭を縦に振り応える。
「だったら、いつも‘ないて’るのもあなた?」
不意のミカの質問。
ガーニィは反応を示す事が出来なかった。
「どうして?どうしていつも‘泣いて’るの?何が悲しいの?」
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