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『我が………悲しい………………?』
眼を見開き、真紅の瞳に驚きの火を灯すガーニィ。
何故ならガーニィの遠吠えは、己の身の内から溢れだす感情の爆発とも言えるもの。
ガーニィ自身さえその遠吠えがどのような感情から来るものなのか解っていない。
「今お話してるあなたの声はとっても大きくて立派よ。」
ミカは手を広げて、上下に振る。
何やら強そうだとか、お腹に響くとか…つまりは威厳がある、と言いたいようだ。
「でもね、いつも洞窟から聞こえる声は、悲しそうで寂しそうなの。」
ガーニィは眼を細め、真剣に話を聞き、考える。
ミカには自分自身でも解らない遠吠えの正体を見つけだすことが出来るのではないか、と。
『ミカ、聞いてくれるか?我でさえ、何故あのような叫びをあげるのか解らぬのだ。』
ガーニィがため息を漏らすと、ミカはゆっくり鼻先を撫でた。
「わかったわ。私が一緒にあなたの心を探してあげる。」
ミカの全てを悟ったような言葉に、ガーニィが視線を向けるとミカの背が柔らかに光っていた。
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