2831人が本棚に入れています
本棚に追加
どうやら目の前の兵士以外に見張りはいないようだ。
ならば実力行使に出るとするか。
我が1歩踏み出すと、兵士は身動ぎし、槍を持つ手に力を込め、槍を突き出した。
この時点で目の前の男が犯したミスは3つ。
まず、声を掛ける前に槍で攻撃すべきだった。
不意討ちなら、手傷を負わせられたかもしれん。
次に、恐怖を抱いたまま攻撃するのは愚の骨頂。
腰が引けてまともに突けておらん。
最後に、我に対して1人で向かってきた。
踵を返し、仲間を呼びに行くのがこの場合の正しい選択。
まぁ逃がしはせんがな。
あまりにも遅い突きを身体を回転させてかわし、背後に回り込むと回転の遠心力で兵士の首に手刀を打ち込む。
首を切り落とさぬよう加減したが、兵士はあっさりと意識を刈り取られ、煉瓦の地面に口付けをした。
最初のコメントを投稿しよう!