2831人が本棚に入れています
本棚に追加
我はもう一度周囲を探り、警戒した。
城門の上に烏が一羽留まっていたが、問題あるまい。
そのまま警戒を解かず、街側の壁を飛び降りた。
街の外れということもあり、今度は見咎められなかった。
我はズボンの埃を手で払い、大通りの方へ足を向けた。
最初に会った老人は城へ行けと言っていた。
つまり、城に賢者が居るのだろうか?
更なる情報が必要である。
『この街に居る賢者とはどんな人物か?』
「賢者?あぁ、アルバートさんかい。すごく頭が良いってね。若いのにねぇ。」
「王様の相談役だろ?王様はあの人の言いなりだから、実際この国はあの人が取り仕切ってるよ。」
「魔王を退治した勇者一行の内の1人らしいね。対したお方だ。」
「毎週日曜に城で説法会をしてるよ。面白くてためになるんだ。」
「お兄さん、セントリィン名物の賢者饅頭、おひとつどうぞ。」
我は賢者饅頭を頬張りながら、情報を纏めてみた。
賢者の名はアルバート。
城で相談役をしていて、政治に深く関与しているようだ。
街の者からの人気は高く、どうやら好青年らしい。
それほど会うのは難しくないようだ。
気になる事はただ1つ。
魔王討伐メンバーの1人…。
最初のコメントを投稿しよう!