賢者と好奇心

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我はもう一度周囲を探り、警戒した。 城門の上に烏が一羽留まっていたが、問題あるまい。 そのまま警戒を解かず、街側の壁を飛び降りた。 街の外れということもあり、今度は見咎められなかった。 我はズボンの埃を手で払い、大通りの方へ足を向けた。 最初に会った老人は城へ行けと言っていた。 つまり、城に賢者が居るのだろうか? 更なる情報が必要である。 『この街に居る賢者とはどんな人物か?』 「賢者?あぁ、アルバートさんかい。すごく頭が良いってね。若いのにねぇ。」 「王様の相談役だろ?王様はあの人の言いなりだから、実際この国はあの人が取り仕切ってるよ。」 「魔王を退治した勇者一行の内の1人らしいね。対したお方だ。」 「毎週日曜に城で説法会をしてるよ。面白くてためになるんだ。」 「お兄さん、セントリィン名物の賢者饅頭、おひとつどうぞ。」 我は賢者饅頭を頬張りながら、情報を纏めてみた。 賢者の名はアルバート。 城で相談役をしていて、政治に深く関与しているようだ。 街の者からの人気は高く、どうやら好青年らしい。 それほど会うのは難しくないようだ。 気になる事はただ1つ。 魔王討伐メンバーの1人…。
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