賢者と好奇心

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人間に王がいるように魔物にも王が存在する。 無論魔王も力の衰退や死により代替わりをしている。 この時代の魔王は我が賢者に会いに行く50年程前に、人間によって殺されたと聞いた。 好戦的で魔力も強かったが、頭が少々弱かったので策にでも嵌められたのだろう。 我が探している賢者がこの時の勇者一行の1人とすると、少なくとも齢70にはなっている。 『賢者は複数いるのか?』 疑問を口にするが、答えが出る訳も無かった。 『説法会に行けば解るか。』 我は考えるのを止め、説法会の日まで街を観光することにした。 人間の芸術、特に絵画という物を我は気に入っていた。 描いた人間の情熱が見た者に感動を与える。 幸いセントリィンにある美術館の出展数は説法会までの数日を埋めて余りある規模だ。 退屈せずに過ごせそうだ。
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