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「グッ…ウォォオオオ!」
隊長が気合いで覇気を押し返し、剣を上段から降り下ろしてきた。
それに呼応するように他の兵士も槍や剣で攻撃してくる。
『本当に優秀な戦士であるな。』
我は覇気を止め、脚を肩幅程に開き、臨戦体制を取る。
向かって来る隊長の懐へ飛び込み、右の手刀で剣を叩き斬る。
呆然としている隙に鳩尾に左の掌底をねじ込んだ。
そのまま前方に吹き飛ばし、後ろを振り返ると2本の槍が眼前に迫っていた。
上体を後方へ反らし、避けると同時に槍を掴む。
槍を引く反動で上体を戻すと、前のめりになる2人に裏拳を見舞う。
甲冑がひしゃげる音が辺りに響き、その音に畏縮したのか波状攻撃に間が空いた。
「どけぇぇぇっ!!」
数人の兵士が飛び退き、その後ろから頭2つ程飛び出した巨漢が自分の身体より大きな太剣を担いで迫ってきた。
巨漢はそのまま右から太剣を薙ぎ払う。
我の後ろには先程倒した2人の兵士が倒れていた。
我が避ければ2人は死ぬだろう。
『やれやれ。仲間よりも敵しか映らんとは、節穴の眼よな。』
我はおもむろに左手を前に出し、繰り出された斬撃を掴み取った。
金属同士が弾き合う音が響いたが、太剣はそのまま動かなくなった。
『中々の一撃だったが、怪力任せな部分が目立つ。もっと技に磨きを懸けよ。』
掴んだ太剣を引き、右拳を巨漢の顔にめり込ませた。
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