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他の兵士達はむやみに突っ込んで来なくなった。
様子を見ながら、ジリジリと間合いを詰めてくる。
一斉に掛かってくるつもりか。
『人間の戦術とは面白いな。機会があれば学んでみるか。』
連携、波状、囲い込み。他にも数々ある、弱い人間が勝利を掴む方法か。
『だが…策を労してもどうにもならない絶対的な力の差を見せてやろう。』
我は右手を胸の前に出し、掌を上に向ける。
『集え、我が巻属。火の精サラマンデルよ。』
掌の上に炎が舞い上がり、火球を形成する。
掌に魔力を込めると炎は勢いを増し、火球を大きくしていく。
「…ま、魔法だ。」
兵士達が呟いた時には、火球は近くの民家より大きくなっていた。
我は右手を高く掲げた。
後は発動させるだけだった。
「隊長を守れ!壁を作るんだ!!」
『爆ぜろ。』
我が唱えると火球は数十の小さな弾になり、四方へ飛び散る。
炎が辺りで爆発音を発し、煙が立ち込めた。
闘いが終わったのを確信し、誰に聞かせる訳でもなく告げる。
『良い部隊だ。中々楽しい遊びであった。』
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