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少女は大きな茶色の瞳の目を細くのばし、口の端で頬を持ち上げる。
それは誰もがつられそうになるとびきりの笑顔。
「そう、あなたのお部屋なのね。とっても素敵!」
龍は自分の手の上に置いていた首を伸ばし、周りを見やる。
『素敵……か。何もない洞穴に見えるがな。貴様の眼にはどう映っているのだ?』
龍は伸ばしていた首をまた手の上に乗せ、少女へと顔を向けた。
すると先程まで満面の笑みを浮かべていた少女は、眉を吊り上げていた。
「私はミカよ。貴様なんて名前じゃないわ。偉そうな話し方をするのは年寄の悪い癖よ。」
妙に大人ぶった言い回しに龍は苦笑してしまった。
『それは申し訳なかったな。この百年、誰かと話をするということがなかったのでな。許してくれ、ミカ。』
「いいの。今のは隣のケーラおばさんの真似よ。とっても口うるさいの。」
ミカは舌をだして嫌そうな顔をする。
話に脈絡がなく、自分の思ったことをしゃべるミカを見て、龍は穏やかになるのを感じた。
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