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『…』
龍はミカを見つめたまま、考えを巡らせる。
ミカは自分の目的を思い出せたので、ニコニコしながら龍を見ていた。
沈黙を破るのは龍だった。
『ミカ、きさ……お前は龍はどのような姿をしているか、知っているか?』
ミカは頭を横に振る。
『そうか、龍という生き物は大きな翼と長い尾を持ち、全身を鱗で覆われている。』
ミカは何度も頷き、龍を創造している。
龍はため息を吐き、真実をミカに伝える。
『つまり、我が龍だ。』
ミカは龍の全身を眺め、納得したように手を叩いた。
「じゃあ、改めて自己紹介ね。私はミカ。スタン村に住んでるの。」
龍はミカの態度が全く変わらないことに苦笑してしまった。
ミカには龍の姿は恐ろしいとは映っていないようだ。
『我は龍だ。百年程前からこの洞窟に住んでいる。名は……好きに呼ぶといい。』
ミカは首を傾げている。
龍は説明をしてやることにした。
『名とは他の個体と区別するためのものだ。我はそのような誰に定められたか解らぬ区別は好かんのだ。よって今の我に名はないのだ。』
ミカがますます難しい顔をしてしまい、龍は理解してもらうことを止めた。
『ミカが我が名を決めるといい。』
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